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KeN's GNU/Linux Diary
... 料理とDebianと雑多な記録


2012年06月05日

_ [review] 『PDF構造解説』

PDF構造解説
John Whitington/村上 雅章
オライリージャパン
¥ 2,310

オライリー・ジャパンの新刊案内を見ていて「む!」と呟いたら版元の方から献本いただいてしまった。恐縮です、ありがとうございます。

CamlPDF(Ocaml用のPDF操作ライブラリ)の開発者John Whingtonの手による、PDFのファイル構造解説書。Adobeの『PDFリファレンス』よりは当然ながら構造解説としてはずっと薄いものの、仕様を中心とするのではなく、PDFの中身を知り、その知識の上でPDFをより良く活用するための手引きという位置付けになるだろう。

普段何げなく開いているPDFドキュメントだが、その中身は緻密なページ記述言語で構成されている。本書の前半はこの言語でグラフィックやテキストをいかに表現するかについてみっちり説明する。そして、メタデータやハイパーリンク、暗号化などのトピックに触れ、PDFの各種ツールを紹介する。

中でも本書がページを割いて扱っているのが、PDF操作ツールのpdftkである。pdftkは各OS向けに移植されており、私も手離せない愛用コマンドだ。PDFの合体や分割、回転は書籍制作の現場に限らずたとえばいわゆる「自炊」でも必要になる操作だが、pdftkはこれらの作業をバッチ操作で造作なくこなしてくれる。

本書は原書に勝ると確信を持って言える。と言うのも、本書には古籏氏・千住氏による極めて有用な章が加えられているからだ(むしろ本編よりもっと充実してほしい内容かもしれない……)。「6.5章」には日本語PDF固有の話題(間接的には中国語・韓国語も)として、CIDフォント辞書とCMapエンコーディングが挙げられている。「付録A」には、その機能があることは知られていてもあまり使われていない、JavaScriptの埋め込みテクニックが紹介される。「付録B」は"電子書籍に便利なツール集"と題して、差分表示のdiffpdfや版管理支援のpdfresurrectといったコマンドがピックアップされている。

コンパクトなので、PDFの基本フォーマットや、Acrobat以外にどのようなPDF操作ツールがあるのかを概観するのに適している。その分、表示と電子フォーマットにほとんどのフォーカスが当てられており、PDF/AやPDF/Xといった規格、PDFバージョンでの差異といったことについては序盤で軽く触れられている程度だ。「なぜ印刷所から『X-1a指定』のように限定されるのか」といったことについても知りたい気がするのだが、それは『印刷Hacks』のような本の登場を待つことになるのだろう。

_ [review] 『ステートフルJavaScript』

ステートフルJavaScript ―MVCアーキテクチャに基づくWebアプリケーションの状態管理
Alex MacCaw/牧野 聡
オライリージャパン
¥ 2,940

こちらも献本いただいた。ありがとうございます。

最初の数章を読み進めてもさっぱり「状態」の話が出てくる気配がなく、MVCとかやたらと書いてあるので変だと思ったら、原題は『JavaScript Web Applications』だった。

jQueryほかさまざまなJavaScriptライブラリを使い、JavaScriptでもMVCフレームワークを構築しましょう、というコンセプト。ORMライブラリだって作っちゃう。

「JavaScriptに対する先入観はすべて捨て去り、オブジェクト指向言語という真の姿に基づいてJavaScriptに接するべきです。」(本書p.2)とは言うものの、何もJavaScriptでやらなくても……という気はしなくもない。

取り上げるライブラリや技術は豊富で、jQuery、CommonJS、Yabble、RequireJS、Sprockets、LABjs、WebSocket、Socket.IO、QUnit、Jasmine、Spine、Backbone、JavaScriptMVCなどなどだ。

ある程度JavaScriptに習熟したプログラマが、目的に沿った支援ライブラリを探すリファレンスとして利用するのに便利だろう。

_ [cooking] 海鮮かた焼きそば


味としては悪くないけど、出来合いのソースパウダーは半分に留めておくのがいいな……ちょっとしょっぱい。