2012年02月02日 この日を編集
_ [review] 『10倍ラクするIllustrator仕事術』
10倍ラクするIllustrator仕事術 ~ベテランほど知らずに損している効率化の新常識
技術評論社
¥ 2,394
本書著者のひとり尾花さんから献本いただいた。ありがとうございます。ということで今話題のステマをします(ぇ。
『○倍××』と名のついた本は、本当に簡単に○倍できることがわかりやすく書いてあるもの、そのとおり実践ができれば実現できるかもしれないけどそのハードルに苦戦しそうなもの、単に売り文句なだけで中身は著者の思い込みの駄文、のだいたい3つに分かれると思う。
さて、本書はもちろんこの最初の「本当に簡単に『10倍』ラクできる」テクニック集だ。 著者はいずれもAdobeのドローイングツールIllustratorをプロとしてバリバリ使っている方々であり、彼らがこれまで業務で蓄積してきたさまざまなノウハウや苦労をベースに、新しいIllustratorのどの機能でその作業がいかに削減・軽減されるかを67のTipsとしてわかりやすく説明している(詳細についてはAmazonの目次を参照されたい)。
古いバージョンを使ってきて従来のやり方を続けてきた人ほど、本書での発見は大きいはずだ。社内のベテランのDTPオペレータ/デザイナーに見せたところ、本書は好評であった。無茶なバッドノウハウもないので、安心して実践できるだろう。
と同時に、CS2やCS3を使い続けている人にとっては「CS5.1いいなぁ…Adobe税払っちゃおうかなぁ…」と思わせてしまう、はなはだ罪作りな本でもある。各TipsはCS3、CS4、CS5(CS5.1)での動作が検証されており、代替手段が提供されているものも多いが、CS5でなければどうにもならない垂涎の技もあるのだ(たとえばガイドラインアートブラシなど)。
デザイナー、イラストレータ、DTPオペレータの皆さんにはぜひ本書を活用し、ミスりやすい単調作業を改革して10倍、20倍ラクしながら良い物を作ってほしいと思う。
(「10倍ラクできるとは仕事を舐めてるのか! 手で1つひとつやることが大切なんだ!」という向きの人からの文句はスルーして「水に綺麗な言葉でもかけてろ」と心で返事しておけばよろしい。)
_ [news] オライリー・ジャパンのサイトに記事を寄稿しました
オライリー・ジャパンのePUBフォーマットを支える制作システム
はてブコメントなどを見ると評判上々のようでなによりです。 一見すると何やらピタゴラスイッチ風に見えるかもしれませんが、Unix系のひとにはわりと中身を想像しやすいんじゃないでしょうか(私が作成を得意とするのはだいたいこういう組み合わせ系です)。
はてブのコメントに遠くからちょっと反応してみると、
- ジャパン独自のシステムです。制作サーバは(オライリー社内ではなく)弊社内の普通のPCです。
- 他の出版社も真似はできると思います。達人出版会さんはもろに同じ系統ですし、オーム社開発局さんの制作システムもだいたい同じ。ボイジャーさんも似たことをしてそうですよね。しかし、オーム社の制作システムやIdeoTypeはもともと『CVS』本を機にVCSで共同制作したのがきっかけでその後も改良にお手伝いしてきた気がしますし、達人出版会の高橋さんはReVIEWの共同開発者だし、ということで私はどちらも縁深い(笑
- 縦書きについてはCSSの設計やリーダの条件だし、ルビについてはReVIEWは一応対応、DocBookもタグ割り当てればいいので別に縦本でも問題ないと思います。縦本はテキスト主体なのでリフローにも強そうなのですが、印刷紙面を再現しなければならないという束縛からどう転換するかが肝だと思います(技術書でも紙面をいかに綺麗に要素配置するかに力を注いでいるものはあります。それはそれで1つの哲学なのですが、私自身はそういう方向よりは中身の充実のほうに注ぎたい)。
- ユーザリテラシや教育については、DocBookはちょっとヘビーですが、ReVIEWのほうは(紙に赤ペンでしか仕事はしないという人はともかく)コンピュータを使って編集記号を入れながら作業している一般的な編集者・筆者にとってそんなに難しいかなぁという気がします。ガイド書かないとなー。
2012年02月08日 この日を編集
_ [computer] ReVIEWの表組の縦・横セル接続を後処理で行う
現状、ReVIEWでは表のタテ/ヨコのセルの接続をタグとしてはサポートしていません。 まぁ実際制作しているときに困ることもあるんですが、かといって今のタブ区切りの文法でこれを表現するのはなかなか難しい。
今日PAGE2012で会ったせうぞーさんが困っているということで、自分が実際にどう対処しているかについてちょっと書いておきます。
縦抜き、横抜きが発生する箇所のセル内に、dtpインストラクションを埋め込みます。
= Table test!
//table{
@<dtp>{table colspan=2}A . B
------------------------
C @<dtp>{table rowspan=2}D E
F . G
H I
//}
colspan、rowspanはHTMLの属性そのままですね。つなげるセルのほうは空セルを示す「.」にしておきます(本当に空セルにしたいところはとりあえず全角スペースにでもしておきます)。
これで変換したHTMLには<?dtp table colspan=2?>のようにインストラクションが入ります。
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?> <!DOCTYPE html PUBLIC "-//W3C//DTD XHTML 1.1//EN" "http://www.w3.org/TR/xhtml11/DTD/xhtml11.dtd"> <html xmlns="http://www.w3.org/1999/xhtml" xmlns:ops="http://www.idpf.org/2007/ops" xml:lang="ja"> <head> <meta http-equiv="Content-Type" content="text/html;charset=UTF-8" /> <meta http-equiv="Content-Style-Type" content="text/css" /> <meta name="generator" content="ReVIEW" /> <title>Table test!</title> </head> <body> <h1><a id="h1" />第1章 Table test!</h1> <div class="table"> <table> <tr><th><?dtp table colspan=2 ?>A</th><th></th><th>B</th></tr> <tr><td>C</td><td><?dtp table rowspan=2 ?>D</td><td>E</td></tr> <tr><td>F</td><td></td><td>G</td></tr> <tr><td> </td><td>H</td><td>I</td></tr> </table> </div> </body> </html>
このHTMLを次のようなフィルタに通します。
#!/usr/bin/ruby
require 'rexml/document'
include REXML
doc = Document.new(ARGF).root
# dtpインストラクションを探し、tableに設定されているパラメータを
# そのままそのセルに採用する
XPath.each(doc, "//processing-instruction('dtp')") do |is|
if is.content =~ /\Atable /
is.content.sub(/\Atable /, '').split(/\s*,\s*/).each do |pv|
k, v = pv.split('=', 2)
is.parent.attributes[k] = v # セルの要素の属性にする
end
is.remove
end
end
# セルが空だったら削除。本当に空のセルを作りたいときには、
# 全角スペースでも入れておく
doc.each_element("//th|//td") {|e| e.remove if e.size == 0 }
puts doc
これで目的のHTMLが完成です。
<html xml:lang='ja' xmlns:ops='http://www.idpf.org/2007/ops' xmlns='http://www.w3.org/1999/xhtml'> <head> <meta content='text/html;charset=UTF-8' http-equiv='Content-Type'/> <meta content='text/css' http-equiv='Content-Style-Type'/> <meta name='generator' content='ReVIEW'/> <title>Table test!</title> </head> <body> <h1><a id='h1'/>第1章 Table test!</h1> <div class='table'> <table> <tr><th colspan='2'>A</th><th>B</th></tr> <tr><td>C</td><td rowspan='2'>D</td><td>E</td></tr> <tr><td>F</td><td>G</td></tr> <tr><td> </td><td>H</td><td>I</td></tr> </table> </div> </body> </html>
2012年02月14日 この日を編集
_ [cooking] サーモンとシメジのオーブン煮
脂の乗ったサーモンがあるけど、ムニエルだとちょっとつまらないしスープ分が多いのがいいなぁということで作ったのがこちら。
鍋にじゃがいも、玉葱を小さめに切って水を入れ、少し柔らかくなるまで煮る。煮汁ごと一旦どこかに退避。
次に白ワインを鍋で煮立て、アルコールが飛んだら退避していたものを戻して混ぜる。煮汁と白ワインは4:1くらいかな。
耐熱皿にオリーブオイルをかけ、キャベツを敷く。強めに塩胡椒したサーモンとしめじ、薄切りのニンニクを乗せ、煮汁をかけてトマトを乗せる。胡椒、オレガノ、タイムをかける。
250度のオーブンに15分ほど入れて出来上がり。鮭は柔らかくてほくほくで、野菜も白ワインの香りが上品な素敵なものになった。スープを作る手間はあるけど、これはいいね。
2012年02月20日 この日を編集
_ [computer] 『書籍制作フローを変える。「ReVIEW」という解。〜マークアップと自動組版と、時々、電子書籍〜』の講演を終えて
昨年の名古屋の「DTPの勉強部屋」、東京の「DTPの勉強会」と2つのセミナーに参加してDTP関係の知人が増えたり、せうぞーさんからの強いプッシュがあったりといった縁で、PAGE2012で、ReVIEWの開発や自動DTPについてお話させていただく機会をいただきました。
……って、PAGEですよ? DTPオペさんや印刷屋さんの巣窟ですよ? 派手でコンパニオン揃えてるのはモリサワとかJustシステムですが。1人の参加者として眺めにいくことはあっても、自分が話す立場になるとは……うーん、でも少し思ってはいました。ずいぶん早くにそういう機会を得られたなという気がします。
お声かけいただいたYUJIさん、そして会場にいらして席を埋め、立ち見までしてくださっていた皆さん、本当にありがとうございました。
資料PDFを公開しているので、適当にご覧いただければと思います。
以下は発表内容に関係があったりなかったりの雑談です。
改めて思うに、自分は執筆者であり、編集者であり、エンジニアであり、そして自由を望むフリーソフトウェア愛好者なのです。中身のよくわからない、いつまでデータの一貫性が保持できるかわからないベンダーロックインや、バイナリで固められた複雑怪奇なドキュメントシステムはまっぴらごめんです。
Chad Fowler氏は『情熱プログラマー』(オーム社)でこう語っています。「自分の人生を他人任せにするな」と。アプリケーション開発マネージャ時代の「JavaEEのアーキテクトになりたいです」という部下の言葉にがっかりし、「自分が雇われているわけでもない特定の会社によって作られた特定のテクノロジの上にキャリアを築こうとしている」と彼は感じました。
PAGEを訪れる人はAdobeのソフトウェアで真剣にビジネスをされている方々が多いだろうと推測します。Adobe、Microsoft、あるいはその両方(!)の製品に依存したビジネスを展開しようとする企業ブースもいくつか目にしました。
でも、ある日、Adobeがなくなったら、それに依存して積み上げてきたビジネスとキャリアはどうなるのでしょうか。そうでなくても、Adobeのある製品やサービスに基づいてリソースを投入してきたのに、ある日突然Adobeがその製品をぱったり止めることはあるかもしれません。バージョンアップによって、ニッチに実現してきたことが全部だめになるかもしれません(AppleのOS Xではよくあることですね)。あるいは大幅なライセンス料金アップでとてもついていけない状況になるやもしれません。はたまた、秘技と自負していたテクニックがワンクリックで誰でもできるようになり(これは良いことなのかもしれませんが)、突如としてオフショアを含めたひどい低価格競争にさらされるかもしれません。
ソフトウェアを使うことが悪いわけではありません。むしろどんどん使い、さまざまな知識を吸収し、世の中をより良く、より素晴しく、より便利にしていければと思います。しかし、ソフトウェアに使われ、閉じ込められてしまうのは断固避けるべきです。
……やれやれ、またリセットです(笑)。
「ReVIEWが原稿フォーマットのスタンダードになる」という予言はネタ半分ではありますが、残り半分は本気でそうしたいと考えています。ソフトウェア開発者たるもの、そのくらいの意気ごみはあってもよいでしょう? もちろんReVIEWよりももっと良いフォーマット——ツールに強く縛られず、好きなようにいじれるフリーソフトウェアで、著者として書きやすくて、編集者として編集しやすくて、拡張できて、簡単に別のフォーマットにもできる——が登場してそれがスタンダードになるなら、諸手を挙げて大歓迎です。
しかし、ReVIEWほどの気楽さで執筆、編集、拡張できるものは私は未だ見い出していません。
技術書の執筆者としてプレインテキスト、ワープロ、LaTeX、SGML、XML、HTML、EWB、Wiki、Microsoft Word、Adobe InDesignなどなど、多数のフォーマットでの執筆を試行錯誤してきましたが、「執筆」という本来の行為に集中できるものはごくわずかです。さらに編集者・DTPの立場から見て、容易に編集作業・紙面化(あるいは電子化)できるという条件も満たすもの、となると一体何が残ると言うのでしょうか。
ReVIEWをはるかに超える良いものが登場するまでは、ReVIEWをそのスタンダードへの地位にするという秘かな野望を実現すべく、開発、改良を続けていくことでしょう。設計の見直しが必要な部分はまだまだたくさんありますが、青木さん、高橋さん、角さん、ユーザーの方々の力と共に1つひとつ解決していきたいと思います。
P.S. でAdobeさん、InDesign CS5.5のPDF直接生成でのバグ報告に反応するか直すか、CS4以前のPDFライブラリに戻すパッチはまだですかね……。


















